エジプト南部の古代都市テーベ(Thebes)にあるアメンホテプ(Amenhotep)3世の像、通称「メムノンの巨像(Colossi of Memnon)」は現在2体だが、2009年には4体がそびえ立つ光景が見られそうだ。
■ 野外美術館プロジェクトにより、巨像は計4体に
遺跡では現在、考古学者12人、作業員数百人が携わる「野外美術館」プロジェクトが進行中。完成後には、2000年以上にわたり謎を投げかけていたこの遺跡について、観光客は新たな見解を持つようになるだろう。
プロジェクトの一環として、エジプト第18王朝のファラオ、アメンホテプ3世の葬祭殿の入口に建てられていた「メムノンの巨像(高さ18メートル)」2 体の後方100メートルの地点に、最近になって発見された別の2体が移動される。これら2体は、雪花石こうでできており、そうしたもろい材質の遺物が見つかるのは極めてまれだ。
巨像が面している道は、ルクソール(Luxor)の有名な「王家の谷」に通じている。
この葬祭殿は、ナイル川の水位の上昇や略奪、紀元前27年の大地震で、破壊されてしまった。かろうじて残った部分も、10年前から、近隣の田畑の灌漑(かんがい)による浸水の危機に直面している。
そこで、米国の著名考古学者のHourig Sourouzian氏が、ドイツ考古学協会(German Archaeological Institute)元会長でもある夫とともに、保存も兼ねた同プロジェクトを立ち上げた。
■葬祭殿の内部も再現
この葬祭殿は、1998年と2004年、ニューヨークのNGO「世界記念物基金(World Monuments Fund、WMF)」の危機遺産リストに登録され、エジプト考古最高評議会(Supreme Council of Antiquities)も緊急対策を講じている。
年に1度、発掘作業が行われ、これまでメムノンの巨像4体のほか、スフィンクス2体、ライオンの頭を持つ戦争の女神セクメト(Sekhmet)の像84体、ステラ(石柱)の150にもおよぶ破片が発見されている。4月末で終了する10回目の発掘では、アメンホテプ3世の妻であるティイ(Tiy)王妃の巨像(高さ3.62メートル)が発見されている。
セクメトの像は、5年以内には元の場所に再現される。ティイの巨像は、夫であるメムノンの巨像の隣に建てられる予定だ。メムノンの巨像2体はまだ半分地中に埋まっており、移動の準備はこれからだ。
巨像だけが残されているラムセス(Ramses)2世および3世の寺院とは違い、内部も再現する予定だと、Sourouzian氏は話す。「新しく作るのではなく、永遠に消えようとしているものを元に戻そうとしているだけ。いわば『ナマの葬祭殿』を実現するのだ」
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